東京大学医科学研究所がヒトの臓器を持った動物の研究を申請し、承認される

2019年8月5日


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文部科学省は今年2019年3月に「特定胚の取扱いに関する指針」及び「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律施行規則」を改正した。
従来までは、「ヒトの臓器を持った動物」の”もと”になる動物性集合胚を作る研究しかできなかったが、この法改正後は、動物性集合胚を動物の胎内で生育させ、ヒトの臓器を持った動物を作る研究が可能となったのだ。

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そして7月24日、文部科学省の専門委員会は東京大学医科学研究所が申請している研究計画を実施することを了承した。これは法改正後、動物の体内でヒトの臓器を作る国内初めての研究となる。

現在、臓器移植は脳死患者からの臓器提供を待つほかなく、国内で提供される臓器の数は圧倒的に不足している。そこで考えられているのが、動物を使って臓器を作り出す「胚盤胞補完法(はいばんほうほかんほう)」である。

遺伝子を改変させた特殊な動物の胚に、iPS細胞などの幹細胞を注入して動物性集合胚を作り出し、これを再び動物の胎内へ戻して育成・出産させる。すると、ヒトの臓器を持った動物が生まれるのだ。これにより、必要な臓器を短期間で作製することができるようになるため、臓器移植問題の解決が期待されている。

東京大学医科大学研究所では、既に胚盤胞補完法によってラットの体内にマウスの腎臓を形成させたり、すい臓の欠損したブタに健常なブタのすい臓を再生させることなどに成功している。
今回、東京大学医科大学研究所が新たに申請した研究では、すい臓が欠損したラットや、マウスの胚にヒトのiPS細胞を入れて作製した動物性集合胚をメスの胎内で育て、ヒト由来のすい臓を作るための研究を行う。ただし、ヒトのすい臓を持った赤ちゃんが生まれるまでは育てず、途中で取り出してヒトのすい臓がしっかりと形成されているか、他の臓器にヒトの細胞が交ざっていないかどうかなどを調べるという。

ヒトと臓器のサイズが近いサルやブタなどにおける胚盤胞補完法の研究は、現在では体外での培養に限られているという。研究チームは今後、マウスやラットなどで研究を進めてからサルやブタでの臓器作製につなげていく方針だ。

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