481人が人工乳房によって特殊ながんを発症、製品を自主回収へ

2019年8月11日


breast implant flickr photo by dr.spitalier shared under a Creative Commons (BY-SA) license

アイルランドに本社を置く日本法人「アラガン・ジャパン」は、2019年7月25日に医療用の人工乳房製品を自主回収すると発表した。これは同社の製品が原因とみられるブレスト・インプラント関連未分化細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)によって世界的に死亡例が発生しており、アメリカ食品医薬品局(FDA)が「アラガン・ジャパン」に対して該当製品の自主回収を要請した流れを受けてのことだ。

ブレスト・インプラント関連未分化細胞型リンパ腫とは?

ブレスト・インプラント関連未分化細胞型リンパ腫(以降、BIA-ALCL)は、乳房再建術または乳房増大術で人工乳房を埋入した患者に、稀に発生するT細胞性非ホジキンリンパ腫の一種で、人工乳房の周囲に形成される被膜組織から発生する増殖性の腫瘍だ。人工乳房に限らず、例えば整形外科用インプラントや歯科インプラントなどの人工物でも症例が報告されている。

進行は緩やかであるため、術後の定期健診によって発見された場合では十分に治癒が見込めるという。
一般には人工乳房を挿入してから平均して9年で乳房が増大するような兆候がみられ、発赤や硬化、しこりや痛みなどを自覚することができる。ほとんどの場合は画像検査で人工乳房周囲に持続的な液体の貯留が確認されるため、発見は難しくないという。

アメリカ食品医薬品局の発表によると.2019年7月6日までに確認されたBIA-ALCLの症例は573例で、そのうち481症例が診断時にアラガン・ジャパン社の人工乳房を埋入していたという。さらに、BIA-ALCLの死亡者33人のうち、製造業者が明らかになった13人中12人がアラガン・ジャパン社の人工乳房を埋入していた。
アラガン・ジャパン製品におけるBIA-ALCLの発症リスクは、少なくともアメリカで販売されている他の製品の約6倍であるという。

アラガン・ジャパンは3つの製品を世界市場から回収および販売停止を行うという。日本では2013年以降から医療機器として公的医療保険の適用を受けていた。関連学会の調査によると、2013年以降の利用者は約3万人にものぼるという。ただし、FDAは人工乳房を既に入れており、無症状の場合は取り出すことを推奨していない。

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