パートナーと引き離されたメスの魚は悲観的な行動を取るようになる、ブルゴーニュ大学の研究

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S. Olkowicz – User Hippocampus on pl.wiki [CC BY 2.5via Wiki Commons

恋をすると人は前向きになって様々なことに意欲が湧いてくるが 、失恋すると悲観的になって何も手につかなくなる——フランスの研究チームによると、どうやらそれは魚にとっても同じらしい。
イギリスの学術専門誌「Proceedings of the Royal Society B」に掲載されたフランスのブルゴーニュ大学の研究によると、コンビクトシクリッド(Amatitlania nigrofasciata)という魚はパートナーと離ればなれになると悲観的な行動をとるようになるという。

コンビクトシクリッドはスズキ目シクリッド科に属する中米原産の魚だ。観賞魚として人気がある一方で、一夫一妻制という興味深い一面もあり、魚類の行動研究でもよく用いられている。
研究者らはまず、コンビクトシクリッドのメス33匹に好みのオスを選ばせてパートナーを作らせた。そして、ペアが入っている水槽には白と黒の2つの箱を用意する。このうち、一方にはエサが入っており、もう一方には何も入っていない。
コンビクトシクリッドは口を使ってこの箱を開けることができ、色と場所を覚えさせて、どちらにエサが入っていてどちらにエサが入っていないのかを識別できるようにした。

ここで研究者らは、パートナーのオスを引き離して、別のオスを水槽に入れた。さらに、水槽には新たに灰色の”曖昧な箱”を用意して、メスがこの灰色の箱に対してどのように反応するかを調べた。
すると、意中のパートナーと一緒にいるメスはエサを取るため、すぐに灰色の箱を開こうとしたのに対し、パートナーと引き離されたメスは箱を開けることをためらったり、閉じたまま放置する傾向がみられたという。パートナーを失ったメスは、悲観的な行動を示すようになるのだ。

さらに、パートナーがいるメスは灰色の箱を開けることに積極的に時間を費やす傾向にあることや、早くに卵を産み、卵に寄り添う時間も長くなるといった行動がみられ、繁殖のために多くの時間と労力を費やすことが明らかとなった。
パートナーと一緒にいると自然と前向きになり、やる気が溢れてくるのは何も気持ちだけの問題ではない。生物学的な根拠が、確かに存在しているのだ。

エピネシス・コラムズ
・コンビクトシクリッド(Convict cichlid)の”Convict”は「囚人」の意味で、囚人服のようなストライプのある模様から名付けられました。

・コンビクトシクリッドのメスは多くの場合、体の大きさでオスを選びます。複数のオスがいて比較が難しい場合、ある特定の相手をパートナーに選ぶことはほとんどありません。

・コンビクトシクリッドは、稀に血縁関係に無い同種の子どもを世話する行動がみられることがあります。

・沖縄では、観賞魚として持ち込まれたコンビクトシクリッドが外来種として定着しました。