財布に入ってた現金が多いほど持ち主に戻ってくる確率が高くなる

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財布を落としてしまったとき、多くの人は冷静ではいられないだろう。これまでどこに行っていたか、最後にいつ使ったか、そしていくら入っていたのか――ほとんどの人は、財布のなかに多くのお金が入っていると、財布を拾われたときに盗まれる可能性が高くなると考えるだろう。しかし、ミシガン大学やユタ大学、チューリヒ大学などの共同研究チームが行った実験によると、どうやら財布に入っていたお金が多いと戻ってくる確率が高くなるという。

合同研究チームは、40か国355都市、総額60万ドル(日本円にして約6,500万円)にも及ぶ大規模な実験を行った。財布には家のカギと買い物のメモ、財布の所有者への連絡先が書かれた架空の名刺を3枚入れ、現地で1500円相当に調整した現金が入ったものと現金が入っていないもの、合わせて約1万7,000個もの財布を用意した。さらに、アメリカとイギリス、ポーランドの3か国は最大で約1万1,000円にまで金額を増やして実験を行う。

対象となるのは劇場や博物館、郵便局、ホテルなどの従業員だ。研究員が各国の各種施設にいる従業員に「路上で財布を拾ったが、急いでいるので行かなければならない」という旨を告げて財布をカウンターに置く。財布に入っている名刺の連絡先に連絡をするか、警察へ届けるか、懐に入れるか――あとは従業員の行動次第だ。

実験の結果、国によって極端な差が見られたが、40か国中38か国で現金の入っていない財布よりも、現金の入った財布の方が返還される確率が高かったのだ。従業員に預けた財布が返還される確率は世界平均で約40%であったが、財布に現金が入っている場合は51%にまで上昇したという。さらに金額を増やしたアメリカとイギリス、ポーランドの実験では、財布が返還される確率が少額の場合と比べて平均で11%も上昇したという。

財布の返還率が最も高かった国はスイスで、2位がノルウェー、3位がオランダであった。一方で、返還率が最も低かった国は中国で、2位がモロッコ、3位がペルーであった。ちなみに、日本はこの実験の対象国ではない。
返還率が1位のスイスと2位のスウェーデンでは、財布の所有者に連絡を取った従業員の割合が70%を上回ったという。一方、中国では現金の入っていない財布を届ける割合は10%にも満たなかったが、現金の入った財布では20%にまで上昇した。

ちなみに、アメリカとイギリス、ポーランドでは財布にカギが入っている場合と入っていない場合でも同様の実験が行われたが、カギが入っている場合の方が、返還率が9.2%も上昇したという。カギは財布の持ち主にとっては大切なものだが、拾った者にとってあまり価値がない。研究者らは、この結果の差は「盗むことによる自尊心の低下」や「相手への利他的な思いやり」があったことを指摘している。

財布を落とさない配慮や、盗難に遭わないような対策はもちろんだが、例えば家族の写真や手紙などを入れて、拾得者の「良心に訴えかける」ようにすれば、もしかしたら本来は戻ってこなかったはずの財布が手元に戻る――なんてことがあるかもしれない。