過去10年間で最も早いペースで増えている手足口病とは

2019年7月4日

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2019年は麻疹(はしか)の患者が過去10年間で最も早いペースで増えている(参考記事:
日本で麻疹が急増、ワクチンの普及した現代でなぜ感染するのか?
)が、もう一つの感染症が猛威を振るっている。主に小さい子どもが感染する手足口病(てあしくちびょう)だ。

国立感染症研究所の発表によると、1つの医療機関あたりの手足口病の患者数が6月23日までの1週間で5.18人となっており、警報レベルを超えたという。この時期での患者数は過去10年で最も多いため、厚生労働省が注意を呼び掛けている。

手足口病とは?

主に4歳までの幼児にみられる感染症で、その名が示す通り手や足、および口腔内に2~3mmほどのかゆみのない水疱性の発疹が現れる。潜伏期間は3~6日ほどで、発症後は3~7日ほどで軽快する。同時に発熱がみられることもあるが、38℃を超えるような高熱になることはほとんどない。
病原体はエンテロウイルスと呼ばれる数種類のウイルスで、ウイルスの違いから何度も感染してしまうことがある。例年、夏季に流行して7月にピークを迎えるが、今年はやや早い段階で流行しているという。

感染経路はくしゃみや咳によって感染する飛沫感染や、おもちゃの貸し借りなどによって感染する接触感染、ウイルスを含む排泄物に汚染された食品や水などによって感染する経口感染など。幼児は生活距離が近くなりやすく、衛生観念にも乏しいためにこれらの感染経路が容易に成立しやすく、幼稚園や保育園ではしばしば集団感染が起きやすい。

手足口病の拡大抑止は難しい

手足口病では、治った後も数週間から数か月という長い間、便からウイルスが排泄されるため、症状が軽快してからも数週間以上は経口摂取の感染能力が維持されることになる。さらに、病原体であるエンテロウイルスは、アルコール消毒に抵抗性を持つため、アルコール消毒液などで簡単に予防することはできないのだ。

また、感染しても症状が現れない不顕性(ふけんせい)感染が起きることもある。この場合、発疹などの症状が現れていない幼児からも感染が成立するだけのウイルスを排出することもあるのだ。これらの理由から、手足口病では十分な手洗い・うがいなどの基本的な予防策を徹底する必要があるのだ。

大人が感染することも

主に幼児が感染する手足口病であるが、稀に大人も感染することがある。むしろ、大人の方が子どもよりも症状が強く現れるために注意が必要だ。全身のだるさや悪寒、関節痛や筋肉痛を伴い、発疹の痛みは強く現れるため、足裏などに発疹ができると歩くことさえままならないこともあるのだ。

一度感染したことがあるとしても、病原体となるエンテロウイルスは数種類存在するうえに、一度獲得した免疫が失われてから大人になって感染することもあるので、手足口病の流行地域にいる人は「子どもだけの病気」と考えず、そして他の感染症を防ぐためにも、やはり手洗いやうがいなどの予防を意識する必要があるだろう。

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