ヒトに”地磁気を感知する能力”があることが確認される

2019年3月28日


Seventeen Again flickr photo by Fey Ilyas shared under a Creative Commons (BY-SA) license

地球は大きな磁石のような性質があり、これを地磁気という。私たちが方位磁針によって方角を知ることができるのはこの地磁気によるものだ。渡り鳥や昆虫、魚類などの一部の生物は、この地磁気を感知して向かうべき方角を知ることができるとされているが、このような能力がヒトにも備わっているかについてはこれまで不明であった。

今回、カリフォルニア工科大学と東京大学の共同研究チームは、磁場に対するヒトの脳内で起きる反応についての研究を行い、一部のヒトが潜在意識下で地磁気を感知する能力を有していることを明らかにした。

渡り鳥などの磁場を感知できる生物は、都市部などの強い電磁波環境では磁場を感知する能力が失われてしまうことが知られていたため、実験ではまずノイズとなるような電磁波を電磁波シールドで遮断したうえで、コイルを使って仮想的な地磁気を作り出し、コンピューターで制御できるようにした。
この電磁場シールドの中で被験者には、脳波を測定しながら目を閉じて静かに座ってもらう。安静状態の被験者に様々な条件で磁気刺激を与えて、どのような反応が起きるのかを調べるのだ。

実験の結果、34人の被験者は磁気刺激を受けても特に何も感じなかったそうだが、脳波のモニタリングでは4人の被験者に特定の方向に対する磁気変化に対してのみ脳波に反応が現れたのだ。

”脳波の反応”とはどのようなものか?

測定した脳波は”α波(アルファは)”と呼ばれるものだ。通常、α波は何もしていない、リラックスした状態のときに強く観察される8~13Hz程度の脳波で、被験者を安静状態にして実験を行ったのはこのα波を出現させるためだ。

α波が観察されているとき、音や光などの外部刺激を受けると、このα波が低下する”事象関連脱同期”という現象が起きる。もし磁気刺激を受けているときに、この事象関連脱同期が起きたということは、何らかのメカニズムによって磁気を無意識に感知したと考えることができる。

発表内容によると、今回の研究では「発生させた磁気によって生じた電磁誘導を脳波として観測した可能性」や「磁気を生み出すコイルの振動や発熱を被験者が無意識的に感じ取った可能性」について、対照実験を行って影響が無いことを確認しており、今回確認された脳波の反応はやはり磁気を感知した結果によるものであると結論されている。


Magnetic Fields – 15 flickr photo by oskay shared under a Creative Commons (BY) license

ヒトは進化の過程で磁場の感知能力を失ってしまったと考えられているが、この研究では未だに現在においてもヒトに磁場を感知する能力があることが示唆された。今後の研究によって、人間に隠された”第六感”の秘密が明らかになるかもしれない。

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