2万8千年前のマンモスから採取された細胞核の活動を確認

近畿大学生物理工学部ならびに近畿大学先端技術総合研究所を中心とした共同研究グループは、シベリアの永久凍土で2万8千年間保存されていたマンモスの細胞核が、注入したマウスの卵子内で活動したことを確認した。

Мамонтёнок_Юка
Cyclonaut [CC BY-SA 4.0wiki commons

ロシア・サハ共和国の永久凍土で、2010年に体長約3.5m、6~10歳程度とされる非常に保存状態の良いケナガマンモスの化石が発見された。「YUKA」と名付けられたこの化石から研究グループらは脚の骨髄や筋肉組織を採取。特に、筋肉組織は保存状態が良好で、細胞核が確認されたという。

この細胞核が生物学的に機能するかどうかを確かめるために、研究グループらはマンモスの細胞核をマウスの卵子43個に移植して細胞核の動きを観察した。マウスの卵子にはDNAの修復機能があることが確認されているからだ。

その結果、マンモスの細胞核がマウス由来の細胞核タンパク質を取り込む様子が観察され、細胞核43個のうち5個ではなんと、細胞分裂の直前にみられる紡錘体(ぼうすいたい)の形成を確認したという。驚くべきことに、マンモスの細胞核は2万8千年もの間、生物学的な活性を保持していたのだ。さらにはマンモスの細胞核の一部が分離してマウス卵子の核の取り込まれる様子を捉えることにも世界で初めて成功したという。

今回の研究ではいくつもの先駆的な技術や研究手法が用いられており、これからは他の絶滅動物における生命現象を、細胞レベルで再現することができるようになることが期待されている。
「マンモス・ラッシュ」に沸いているロシア・サハ共和国では、現在でもマンモスの採掘が活発に行われている。(参考記事:象牙の代用品としてマンモスの牙が流通、マンモスをワシントン条約で保護?)

今後さらに保存状態の良好なマンモスが発見され、DNAの損傷がより軽度な細胞核を採取することに成功すれば、DNAの修復、そして細胞分裂――いずれは胚の発生にまで繋がるかもしれない。絶滅したマンモスの”復活”も、遠くない未来に実現できるだろう。