カミクラゲは加齢臭で身を守っているのかもしれない

2019年2月3日

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Kakidai [CC BY-SA 3.0from WikiCommons

カミクラゲは日本から韓国の近海にかけて生息するクラゲだ。長らく日本の固有種であるとされていたが、近年では韓国でも生息が確認された。春先によく出現することから春を告げるクラゲとしても知られており、細く長い触手が、長い髪のように美しく揺れる姿からカミクラゲ(髪水母)と呼ばれているという。

そんな美しい姿とは裏腹に、2018年12月に発表された東京海洋大学の永井宏史教授らの研究によると、どうやらこのクラゲは加齢臭のような青臭い匂いを発して自らの身を守っているかもしれないという。

永井教授らは、様々なクラゲのサンプルを採集している際に、採取したばかりの新鮮なカミクラゲが独特な異臭を放っていることを発見した。一般的なクラゲの多くは魚類などと同じように生臭い匂いがするが、カミクラゲはそれらとは全く異なる特徴的な匂いで、「キュウリのような匂い」であったという。カミクラゲがこのような匂いを持つことはこれまで報告された例がなく、永井教授らの研究チームはこの”キュウリのような匂い”が、どのような物質によるものであるのか調べた。

研究チームが採取したばかりの新鮮なカミクラゲを粉砕して匂いの成分を取り出し、分析・特定した結果、原因物質は2-ノネナール2,6-ノナジエナールであることが明らかとなった。これらの成分は本当にキュウリにも含まれている成分であり、同時に高齢者における加齢臭の原因物質でもある。(参考記事:加齢臭が発生する原因とは?)

この2つの物質はいずれも青臭さ油臭さのような匂いを発する物質で、例えば魚のアユなどにキュウリのような匂いがするのはこれらの物質が原因である。

2-ノネナールや2,6-ノナジエナールは、昆虫に対しての忌避作用や、病原性微生物などに対して抗菌作用を示すことが報告されている。もしかしたら、カミクラゲはこれらの物質を作ることによって自らの身を守っている可能性があるのかもしれないという。

カミクラゲは水族館でもよく展示されており、これから暖かくなるにつれ日本近海でもよく見られるようになるが、刺傷被害が報告されていないとはいえ、むやみに捕まえようとすることだけはやめておこう。

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