世界最大の花「ショクダイオオコンニャク」とは?

2018年11月15日


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熱帯植物特有の鮮やかな色彩と人の身長を超える大きさ,独特の腐臭

ショクダイオオコンニャク、別名スマトラオオコンニャクは インドネシアスマトラ島に自生するサトイモ科の植物だ。高さは3m以上にもなり、直径は約1.5m、花は7~10年1度しか咲かない。それもたったの2日間だけの開花となる。さらには絶滅危惧種なので、滅多にお目にかかれるものではない。大きな花びらのような部分は、実はサトイモ科によく見られるような仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる葉が変化したもので、本当の花びらではない。本当の花は、中央にある棒状の部分の奥、見えないところに小さな雄花雌花がそれぞれ密集して存在しているのだ。

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上が密集した雄花、下が密集した雌花というように、2層に分かれている。”世界最大の花”と名高いショクダイオオコンニャクであるが、実は花が集合している肉穂花序(にくすいかじょ)と呼ばれるものであり、これ自体が花というわけではない。単一の花ではラフレシアが世界最大の花だ。(参考記事:世界三大珍植物の一つであり世界最大の花「ラフレシア」) もちろん花序全体でみると、このショクダイオオコンニャクが世界最大の花ということになる。

ショクダイオオコンニャクの大きな特徴は、見た目よりもまずひどい悪臭だ。英語ではcorpse flower(死体花)と呼ばれるほどの肉が腐ったような独特の腐臭を放つことで知られている。中央にある棒状の部分は、臭いを放つばかりでなく、さらには発熱することで遠くまで臭いを拡散させるのだという。こうして、ショクダイオオコンニャクは死体に集まるシデムシなどの昆虫をおびき寄せるのだ。昆虫をおびき寄せる理由、それは受粉を行うためであるが、ショクダイオオコンニャクの受粉の仕方はちょっと複雑だ。

開花1日目

臭いによっておびき寄せられた昆虫は、この”大きな花”の中に入るのだが、この仏炎苞はとてもつるつるとして滑りやすく、さらには一度入ったら逃げにくい構造となっている。昆虫は閉じ込められ、翌日に枯れるまでそのまま中で過ごすことになるのだ。このとき、ショクダイオオコンニャクの雌花は咲いているが、雄花はまだ咲いていない状態となっている。

開花2日目

開花2日目には入れ替わるように雌花が枯れ、雄花が咲く。雄花にある雄しべにはたくさんの花粉がついているため、閉じ込められた虫は花粉まみれになってしまう。花が枯れて、ようやく解放された虫は一晩の絶食に耐えかね、腐った肉の臭いに誘われてまた別のショクダイオオコンニャクへと足を踏み入れるのだ。この花粉まみれになった虫が、開花1日目の別のショクダイオオコンニャクにある雌しべに触れることで受粉が行われる。お分かりいただけただろうか。ショクダイオオコンニャクは虫を誘導して操り、雌花と雄花が咲くタイミングをずらすことによって、自分自身の雄しべと雌しべで受粉(自家受粉)してしまうことを防いでいるのだ。このような仕組みを雌性先熟という。ハチは、花からハチミツを貰うかわりに受粉を手伝っているが、ショクダイオオコンニャクの場合はただただ虫を誘い出し、そして利用したに過ぎない。虫は”ただ働き”をさせられたということになる。

ショクダイオオコンニャクは、日本各地の植物園で栽培されている。機会があれば、その圧倒的な大きさ臭いをぜひ体感してみよう。開花期間は2日しかないため、ショクダイオオコンニャクがある植物園の情報は入念にチェックする必要がありそうだ。


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