先天性白皮症として生きる――狙われるアルビノの人々

2018年10月15日


Albino Grey Squirrel flickr photo by Peter G Trimming shared under a Creative Commons (BY) license

「白化現象」は、多くの動物たちにみられる現象だ。メラニンという色素を作る遺伝子が異常により欠損して、メラニンを生成することができないか、あるいはメラニンがほとんど生成されないために皮膚や毛など全身の色が白くなるのだ。このような個体はアルビノ(Albino)と呼ばれている。有名な例では、日本において古くから崇められている白ヘビや、ハーマン・メルヴィルの小説に登場する白鯨などが該当する。


Happy to be at Gatorland! flickr photo by Experience Kissimmee, Florida shared under a Creative Commons (BY) license
一見アルビノに見えても、遺伝子異常が原因でなく正常な遺伝によって体色が白く変化する白変種と呼ばれるものが存在する。このアリゲーターは白変種で、アルビノではない。

どこか神秘的な気配を感じさせる美しさから、「神の使い」や「吉兆」として崇められることもあるアルビノだが、自然界でこれらの個体の生存率は低い。白い体色はあらゆる場所で目立つため、天敵から襲われる可能性が高くなるうえに、メラニンの欠如に起因する様々な障害が体に現れるのだ。

もちろん、人間も例外ではない。国や地域によって発生頻度は異なるが、全世界でおよそ4万人に1人程度の割合でアルビノ(先天性白皮症)の赤ちゃんが生まれているのだ。髪は白色または黄白色で、肌や瞳は血管の色が浮き上がって見えるために赤っぽく見える。だが、変化しているのは見た目だけではない。目のメラニン色素が欠如しているため光をうまく調整することができず、ほとんどの人は視覚障害を患い、紫外線によって肌がダメージを受けやすいため皮膚がんを発症しやすいのだ。


João Pedro – Albino Newborn flickr photo by Felipe Fernandes Photography shared under a Creative Commons (BY-SA) license
アルビノ(先天性白皮症)の赤ちゃん。

だが、彼らを最も苦しめるているものは病気そのものではない。信じがたいことに、アフリカの南部では、アルビノの人体の一部を食べることによって神聖な力が宿り、不老不死となったり、あらゆる病気が治ると信じられている。また、人体の一部は黒魔術、あるいは呪術に使用する貴重な”材料”として高値で取引されることもあるという。アルビノの人々はこうした非科学的な迷信を信じている人々や、高値で売買しようとしている者から常に命を狙われている。アフリカでは特に深刻で、アルビノの人々を狙った犯行がこれまでに少なくとも500件以上は起きているという。彼らは、墓を掘ってまで人骨を手に入れるという。

法制度がまだ十分に整っていない地域も多く、アルビノの多くの人々が視力障害を持っているために、このような犯行はこれまでに幾度となく見逃されてきた。彼らを救うためには、根強く信じられている迷信や誤解を解くしかない。近年では、事件が起きた地域を対象として正しい知識を教えるセミナーを開くといった教育活動も積極的に行われるようになってきた。思想や文化というものは簡単には変わらないが、それでも強く生きようとするアルビノの人たちへの確かな希望となっている。

あなたにおすすめの記事
深海生物に赤色が多い理由とは?
シマウマの縞模様にはどのような意味があるのか?
ハダカデバネズミの驚異の生態と能力とは?
・動物たちの不思議な目玉模様「眼状紋」とは?

生命科学カテゴリの最新記事