偽りのダイヤモンド「キュービックジルコニア」とは?

2018年10月7日

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ダイヤモンドの指輪は、今やプロポーズで贈る定番の1つとなっている。この慣習は、実は企業戦略によって普及したものではあるが、宝石の中でも屈指の美しさ傷つきにくさを持つダイヤモンドは、まさに永遠の愛を誓うに相応しい宝石であるといえるだろう。その一方で、採掘には労力と時間がかかるうえに、産出量は限られているため「高価な宝石」としての一面もある。

このような価値の高い宝石は例外なく模造品、つまり偽物が造られるようになる。しかし、ただ透明なガラスをそれらしく加工しただけでは、ダイヤモンドのようにはならない。一般的なダイヤモンドのカット方法であるブリリアント・カットは、宝石の中で最も屈折率が高いダイヤモンドの美しさを最大限に引き出すように数学者が緻密に計算して考案されたものだ。これを屈折率の低いただのガラスで行うと、内部で光がうまく反射しないためダイヤモンド特有の輝きは表れないのだ。

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ガラスにブリリアント・カットを施したもの。

1700年代にはガラスにタリウムや鉛などの元素を加え、屈折率を高めてダイヤモンドの輝きに近づけさせる方法が確立している。さらに1900年代になると、ダイヤモンドの需要が世界的に高まり、サファイアスピネルといった宝石を人工的に合成させ、透明度と屈折率をさらにダイヤモンドに近づけたものが造られた。

このように、これまで様々なダイヤモンドの模造品が試行錯誤の末に造られてきたが、そのなかでも最も成功したと言われているものが「キュービックジルコニア」と呼ばれるものだ。

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キュービックジルコニアにブリリアント・カットを施したもの。

その輝きを比較すると、ガラスとは全く比較にならない。キュービックジルコニア(cubic zirconia:CZ)は、二酸化ジルコニウム(ジルコニア)に、酸化イットリウムや酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどを添加させて造られたものだ。ダイヤモンドに近い屈折率高い硬度が特徴で、ダイヤモンドに用いられるブリリアント・カットを行うと、ダイヤモンドと同じように輝き、揺らめくように様々な色が現れる。

キュービックジルコニアではダイヤモンドの輝きを再現できるだけでなく、いくつかの金属元素を加えることによってダイヤモンドと同じようにイエローやブルー、レッド、ピンクなどのカラーダイヤモンドを造ることもできる。そして、最も成功した点は、なんといってもその価格だ。1カラットあたり数十円程度であるために、誰もが簡単にその輝きを手に入れることができるようになったのだ。

キュービックジルコニアを見分ける方法は?

キュービックジルコニアは、ダイヤモンドでないにも関わらず「CZダイヤモンド」などの名称で、顧客に分かりにくいように販売されることがある。より悪質なものでは、本物のダイヤモンドとして販売されることすらあるのだ。このダイヤモンドにそっくりなキュービックジルコニアを見分けるにはどうすれば良いのだろうか?

実は、見分けるための方法がいくつかある。

もし指輪やペンダントになっていないルース、つまり裸石の場合は重さを量るだけで簡単に見破ることができる。ダイヤモンドは炭素で構成されているので比較的軽く、キュービックジルコニアの方がダイヤモンドより1.7倍も重いのだ。また、ダイヤモンドの高い熱伝導率性も見破るための一つの基準となる。息を吹きかけて表面を曇らせると、ダイヤモンドは高い熱伝導率のために曇りはすぐに消えるが、キュービックジルコニアなどのダイヤモンド模造品ではこの曇りはなかなか消えないのだ。

頻繁に宝石に触れる人は、より簡単にダイヤモンドかどうか判別できる宝石テスターを購入しても良いかもしれない。安いものでは2000円程度の価格で販売されている。ただし、キュービックジルコニアよりも優れたモアッサナイトという模造品では、簡易な宝石テスターでは本物かどうか判別できない場合もあるので注意が必要だ。より確実に本物かどうか確かめたい場合は思い切って宝石鑑定士に依頼すると良いだろう。

キュービックジルコニアのようなダイヤモンドの模造品が登場すること自体は、決して悪いことではない。本物のダイヤモンドは盗難や紛失などを考えると、安易に身に着けることをためらってしまうが、キュービックジルコニアなどの模造品では、そのような心配は少なくて済む。何も宝石の価格だけが、あなたの価値を決定するわけでは無い。宝石は身に着ける人の美しさを引き出すための装飾品に過ぎないのだ。

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