実は天使という意味ではない?世界最大の落差を誇る「エンジェルフォール」

2018年10月2日


Angel Falls flickr photo by Dimitrio Lewis shared under a Creative Commons (BY-SA) license

南アメリカにあるコロンビア、ベネズエラ、ガイアナ、スリナム、フランス領ギアナ、ブラジルという6つの国にかけて広がるギアナ高地。その一角を占める世界遺産のカナイマ国立公園には、未だ人類未踏の場所が多く点在しており、”世界最後の秘境”とも言われている。

この場所が国立公園に指定されるよりも30年ほど前の1933年、アメリカから来たある探検家のパイロットが金鉱を飛行機で探している最中に、驚くべき景色に遭遇した。それこそが世界で最も落差のある滝、「エンジェルフォール」の発見である。


El Salto Angel (completamente alucinante y magico) flickr photo by Inti shared under a Creative Commons (BY) license

その高さはなんと979m。スカイツリーの1.5倍にも相当するこの高さは、頂上から物体を落としたとき、地面に落下するまでに少なくとも14秒はかかる。これほどの高さになると、滝を流れる水は落下中に拡散してしまうため、エンジェルフォールに滝つぼは存在しないのだ。ギアナ高地の大自然に現れる、美しく壮大な神秘の滝――まさに天国にある楽園を思わせるような光景だが、先住民たちにとってはそれどころでは無かったようだ。

エンジェルフォールは1933年に発見されたが、先住民たちには古くから知られていた存在であった。エンジェルフォールがあるこの山は「アウヤンテプイ」と呼ばれているが、これは先住民族ペモンの言葉で「悪魔の山」という恐ろしい意味がある。正確な名前の由来は定かでないが、一説によるとこの場所は悪魔や魔物が棲む場所として先住民たちから恐れられていたようだ。”悪魔の山”にある”天使の滝”――人智を超えた存在である天使と悪魔というこの組み合わせはこの神秘的な光景に相応しい。


Angel Falls, Venezuela flickr photo by benedict.adam shared under a Creative Commons (BY) license

しかし、このエンジェルフォールの「エンジェル」とは、実は「天使」という意味ではない。1933年にこの滝を発見したパイロットの名前はジミー・エンジェル――そう、エンジェルフォールというこの名称は、実は滝を発見したパイロットの名前から名付けられたのだ。由来を聞いて少しがっかりした方もいるかもしれないが、このパイロットにとってこの上ない名誉であったに違いない。

エンジェルフォールとギアナ高地の旅

1937年にジミー・エンジェルが、このエンジェルフォールに再訪したときは妻も一緒だったそうだが、きっと素敵な体験であったことだろう。不運なことに、ジミー・エンジェルの一行は機体の故障によって不時着し、やむなく11日かけて歩いて帰ったそうだが、現在では観光拠点からエンジェルフォールまで半日もあれば往復できる。この美しい景色を誰かと一緒に見ることができたなら、きっと幸せな気分になるだろう。


Red-and-green Macaw aka Green-winged Macaw (Ara chloropterus) flickr photo by warriorwoman531shared under a Creative Commons (BY-ND) license

ギアナ高地では11月~4月頃までは乾季となっていて、この期間中ではエンジェルフォールの水量が減るうえに、エンジェルフォールに行くまでの水路となっている川の水量までも少なくなってしまうため、観光には雨季となる5月~10月頃までがベストだろう。また、ギアナ高地の美しい自然や生物たちも観光の大きな魅力の一つだ。南米特有のユニークな花や、岩が多く土壌の少ないギアナ高地ならではの食虫植物、分類さえまだ明らかでない新種の昆虫との出会いもあるかもしれない。もし野生のベニコンゴウインコに出会えたなら、自分が楽園にいることをきっと実感できることだろう。

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