盗まれた遺跡――ピラミッドの頂上はどこへ消えたのか?

2018年8月25日


Great Pyramids of Giza flickr photo by JackVersloot shared under a Creative Commons (BY) license

クフ王が建設したギザの大ピラミッドは、高さ約139mという最大規模のピラミッドだ。紀元前26世紀に建設されたにも関わらず、14世紀にイギリスのリンカン大聖堂が建設されるまで世界で最も高い建築物であった。数百kgのものから最大で60tにもなる石材を210段積み上げられて作られ、使用された石材の総数は諸説あるが、推定で230万~270万個にもなるという。

これはアンドレー・チェセールスキーという18歳のドイツの少年が、登ることを禁止されているギザの大ピラミッドに登ったときの”貴重”な動画だ。彼の行為は決して許されるものではないが、現在では簡単に見ることのできないピラミッド表面の状態がよくうかがえる。遠くから見ると角ばった石材しかないように思われるが、4500年もの長い時を経て石材はいたるところ風化しており、動画ではまるで自然にできた崖のように見える場面もある。滑らかな表面の岩や細かい砂で足を滑らせれば、大怪我つながることは間違いないだろう。ピラミッドに登ることが禁止された背景には、毎年多くの負傷者が出たことにあるという。

”消えた”ピラミッドの頂上

現在のギザの大ピラミッドの高さは約139mであるが、実は完成当初は約147mもあったという。石段の数も完成当初は210段あったと考えられているが、現在では9段少ない201段となっているのだ。なぜ、ピラミッドの頂上部分がこんなにも低くなっているのだろうか?


Stones flickr photo by Bs0u10e0 shared under a Creative Commons (BY-SA) license

ピラミッドに登ることが禁止されたのは1986年のことであり、数十年前までは誰もがピラミッドに登ることができた。実は4,500年もの長い間、ピラミッドの頂上にある石材は少しずつ持ち去られていったのだ。いつ、どういった人々が、どのような目的でどれほど持ち去ったのかは定かでないが、重い石材を運びながら降りること以外は、歴史的にそう難しくなかっただろう。ピラミッドの積み上げられている石材は頂上に近いほど小さくなっており、なかには風化の影響を受けてさらに小さくなったり、割れやすくて持ち運びやすい手頃な石材もあったかもしれない。

今では登れなくなったピラミッドの頂上には、残念ながら多くのラクガキも見られるという。形あるものはいつしか無くなってしまうものだが、私たちは先人たちが残そうとしたものを、責任をもって未来へと受け継いでいかなければならない。

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