冬になぜ風邪やインフルエンザが流行するのか?

2018年10月1日


flickr photo by s.sawada shared under a Creative Commons (BY) license

1年のうち最も感染症が多い季節であることは多くの人が知っているだろう。その理由として、よく「冬は乾燥しやすいから」と説明されることがある。

そもそも、なぜ冬は乾燥しやすいのか?

冬が乾燥しやすい理由はいくつかある。1つは、冬に乾燥したシベリア気団がよく発達して、これが日本を覆うために乾燥した気候になりやすいということだ。また、冬は気温が低いため、空気中に存在できる水の量(飽和水蒸気量)が少なくなるうえに、そもそも蒸発する水分そのものが少ないので非常に乾燥しやすいのだ。しかしながら、冬の乾燥した状態と、感染症のかかりやすさには一体どのような関係があるのだろうか?

ウイルスの感染経路

風邪やインフルエンザの主な感染経路は、咳やくしゃみによって、ウイルスを含んだ飛沫を直接吸い込んでしまう”飛沫感染”だけではない。患者が咳やくしゃみをしたり、鼻水をかんでウイルスに汚染された手で物に触り、同じものを触った手で目や鼻などの粘膜に触れてしまう”接触感染”や、近年では”エアロゾル感染”も起きることが明らかになっている。

エアロゾル感染

患者が咳やくしゃみなどを行うと、飛沫が蒸発して、ウイルスを含んだ5㎛未満の小さな微粒子(エアロゾル)が放出される。このエアロゾルは数時間のあいだ空気中に浮遊して感染を引き起こすことがあるのだ。長らく、インフルエンザなどは飛沫感染と接触感染のみとされてきたが、近年ではエアロゾル感染も重要な感染経路として認識されつつあり、特に乾燥した冬では特に飛沫の水分が蒸発してエアロゾル化し、空気中に浮遊しやすい状態となっているのだ。

ウイルスの”生存”時間と滞留時間は湿度が重要

しかし、体外に排出されたウイルスはずっと感染能力を維持し続けられるわけではない。ある一定時間を過ぎると感染能力を失ってしまうのだ。これを失活(しっかつ)という。この失活するまでの時間は、実は空気の湿度によって大きく左右されることが明らかになっているのだ。

例えば、インフルエンザウイルスは湿度50%以上では長くても8時間で感染能力を失ってしまうが、湿度50%未満の乾燥した状態ではなんと1~2日も感染能力を保ったまま”生存”することができる。

乾燥すると感染症にかかりやすい理由はもう一つある。それが空気中の塵(ちり)埃(ほこり)などだ。空気中には目には見えないほどの塵や埃が多く舞い上がっているが、感染者の体内からエアロゾルとして空気中へと放出されたウイルスは塵や埃に付着して遠くまで飛散したり、地面から再び舞い上がったりする。しかし、湿度が高い状態であると、塵や埃が湿気を吸収して重くなり、これらが空気中に舞いにくくなるのだ。

乾燥を抑えて感染症を予防する

冬はただでさえ乾燥しやすいが、それだけではない。最も注意すべきなのは室内の湿度だ。ただでさえ空気が乾燥しているうえに、暖房器具などを使用して気温を高くすると部屋の外よりも乾燥した状態になってしまうため、ウイルスが失活するまでの時間がより長くなってしまうのだ。さらに、暖房器具をつけている場合は部屋の換気も行われなくなるため、ウイルスを空気中に滞留させてしまう大きな原因にもなる。

従って、暖房器具を使用する場合には加湿器を同時に使用したり、濡れたタオルなどを干すなどして、室内の湿度を保つようにするといいだろう。特に、人が多い場所では定期的に換気を行って乾燥または汚染した空気を一度流して、きれいな空気を取り入れるように心がけよう。

この記事を読んだ人におすすめの記事

関連記事




医学カテゴリの最新記事