不気味美味しい「カニミソ」とは?何が入っているのか?

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カニ! flickr photo by kei51 shared under a Creative Commons (BY) license

カニを丸ごと食べるときには欠かせない「カニミソ」。見た目こそは悪いものの、濃厚な味わいと独特の風味があって好きな方も多いだろう。海外では一般には食されずにそのまま捨てられることも多いが、日本ではよく食される”珍味”の一つだ。同じカニの種類でも生息地域、食性などによっても味わいが異なるため、日本各地のカニミソの味はそれぞれの地域で特有のものになるという。

日本ではよくカニの身につけてそのまま食べるほか、軍艦巻きのネタや他の海鮮などと合わせた混ぜご飯などにして食べられており、近年では加熱調理されたものが缶詰などで加工されて市販などでも売られるようになった。


ホタテカニミソ #dinner ヤバイ flickr photo by is_kyoto_jp shared under a Creative Commons (BY) license

さて、このカニミソの正体とは一体何だろうか?
カニミソは英語で”brown crab meat”と呼ばれているが、もちろん身(meat)ではない。よく言及されているのは、カニミソは実はカニの”脳みそ”ではないか、という説だ。脳みそはそもそも、人間でいうところの脳髄(のうずい)であるが、カニにも同じように脳みそがあるのかといえば、それは間違いだ。

カニははしご形神経系という神経系を有しており、カニの頭部には脳に相当する部分が一応はあるものの、ただ神経節が発達したものに過ぎないためとても小さい。つまり、カニの脳は脳みそと呼べるような部分は存在しないということになる。

実は、カニミソと呼ばれる部分は中腸線という臓器なのだ。中腸線は私たち人間における肝臓とすい臓の機能を併せもつため肝すい臓とも呼ばれている。この中腸線の機能は多岐に渡るが、主に消化酵素を分泌して分解し、養分を吸収する一般的な消化器官の役割を果たす。

他にも中腸線は栄養を貯蔵する役割も担っているため栄養は豊富であるが、実は、同時にカドミウムや水銀、ヒ素などといった重金属などの有害物質を蓄積する役割も担っているため、大量に摂取するのは避けた方がいいだろう。カニミソの独特の苦みはこれらの有害物質などによるものではなく、単にグリシンやアルギニンなどのアミノ酸やミネラルなどによるものであり、特にナトリウム分が減少することによって苦みが強くなることが知られている。

一部で、この中腸線の内容物がカニの糞そのものであるという俗説が流布されることがあるが、それは正しいとは言えない。中腸線を持つ生物には、確かに排泄能力が低いために消化不能物を蓄積するものも存在する(参考記事:カキで食中毒になってしまう原因とは?)が、カニはしっかりと排泄を行うため、消化途中のものは存在しているが、それが糞そのものであるとは言い難い。ちなみに、カニはお腹の方にある二等辺三角形のちょうど頂角部分が排泄口となっている。

一部食欲の無くなってしまいそうな内容もあったが、摂り過ぎに注意すれば栄養の豊富な食品であることは確かだ。カニミソは消化酵素を多く含むため、鮮度が早く落ちてしまうので新鮮なうちに加熱すると酵素が失活するために鮮度の低下を防いでくれる。人によっては気分の悪くなりそうな話なので、みんなで囲んでカニを食べる際にはぜひ注意していただきたい。