大量の水を飲むことで死に至ることもある「水中毒」とは?


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青酸カリテトロドトキシンなどのフグ毒はごくわずかな量でも死に至る猛毒であるが、どんなものでも過剰に摂取すれば身体に害をもたらす毒にもなりうる。それは私たちが普段口にする水も例外ではない。2007年にはアメリカで水飲み大会が行われ、7.5Lもの水を飲み優勝した28歳の女性が大会終了後に頭痛とめまいを訴え数時間後に死亡したという事故まで起きている。

水を大量に摂取すると血中に含まれるナトリウムの濃度が低下する低ナトリウム血症が引き起こされる。これが水中毒(別名:希釈症候群)だ。頭痛や吐き気,けいれんなどの症状が現れ、重症になれば脳浮腫によって昏睡などの意識障害に陥り、最悪の場合死に至る。日常生活で水を大量摂取することはまず無いだろうが、運動後に塩分を含まないような大量の水分補給には充分注意が必要だ。

この水中毒は「多飲症」と呼ばれる病気とともに、精神医学的にはよく知られている。多飲症とは喉が渇いてしまう作用(口渇作用)のある薬の投薬や心因性によるもの、糖尿病などの合併症によって大量に飲水してしまう病気であり、ある研究調査によれば精神科入院患者の10~20%に見られるという。多飲症の患者に対しては適切な水分制限を行わなければ水中毒を引き起こしてしまう可能性もあり、水分制限が行われていた多飲症患者が洗面台の水道水を大量に飲んで死亡してしまうという事故も発生している。

近年、メディアで紹介されている美容法や健康法のなかには「血液をサラサラにする」「老廃物を流し出す」と謳って大量に水を飲むことを推奨しているものがある。お金があまりかからない上に手法自体は飲むだけという非常に簡単なものであるため一部で流行しているが、水中毒は飲水量が2Lからでも起こりうるため気を付けなければならない。