鎮痛麻酔として利用される笑気ガスとは?


blur of smile flickr photo by porschelinn shared under a Creative Commons (BY) license

一部の手術で使用される「笑気ガス」を聞いたことがあるだろうか?文字だけ見てみると何だが吸ったら笑いが止まらなくなるような笑いガスを想像してしまうかもしれない。実際にこのガスを風船に入れて吸引し、笑いが止まらなくなった様子が撮影された動画が多く投稿されているが実際にそのような効果は無い。それは笑気ガスによってもたらされた陶酔感によるものか、あるいは演技である。

笑気ガスは、亜酸化窒素の別名であり無色・無臭のガスである。1772年にイギリスの化学者であるジョゼフ・フリーストリーが発見し、1795年に助手のハンフリー・デービーが麻酔効果を確認。顔の筋肉が弛緩して笑っているように見えることから笑気ガス(Laughing gas)と名付けられた。後にアメリカの歯科医ホーレス・ウェルズが親知らずの抜歯手術に世界で初めて麻酔として使用し、現在では歯科治療を中心に出産時の鎮痛麻酔や全身麻酔の補助薬として使用されている。

眠らせることなくリラックスさせる笑気ガスは、手術に対して大きな恐怖心や不安がある患者には特に有効で本来痛みを取るための麻酔注射が痛い、または怖いなどといったジレンマを軽減させることができる。しかし近年では二酸化炭素の約300倍の温室効果があることや、手術後の吐き気や嘔吐などの副作用ことから使用が避けられつつあるという。

この笑気ガスは多幸感や陶酔感が得られることから昔はパーティーなどで使用されることもあった。現在では世界各地で笑気ガスの乱用が懸念されており、イギリスでは誤った使用法によって酸欠状態に陥り死亡した事例も報告されている。日本においても「自転車タイヤの充填用ガス」や「風船用のガス」としてオンラインショップで無許可で販売される例が見られる。大麻や覚せい剤のような強い効果や依存性は無いが、好奇心で使用するのはとても危険なので購入や使用は絶対にしてはいけない。”笑えない事態”になってしまう前に――