永世中立国として武装する国家「スイス連邦」とは?


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永世中立国――それは自国を防衛すること以外に武力を行使せず,世界のあらゆる戦争に介入しないなど常に中立的である国家のことだ。永世中立を宣言したうえで他国からの承認が必要であり、現在ではスイス連邦やオーストリア,トルクメニスタンなどが永世中立国として知られているが、その中でもスイス連邦(以下よりスイスと表記)は1815年のウィーン会議以来の最も長い歴史を持つ永世中立国である。

スイスは国際的に不可侵が保障されており、侵略行為を受けても中立化を承認している各国が援助できるような取り決めがされているが、軍事同盟ではないため他国からの軍事的な脅威に対しては基本的に自国だけで解決しなければならない。それゆえにスイスは国民皆兵に基づいた徴兵制度があり、18歳になった全ての男子は徴兵検査を受けることになっている。これに合格すると20歳から予備兵役として以降10年間は数年ごとに行われる2~3週間の訓練に参加しなければならない。なお、女性は任意での参加となっている。

国土の大半が山岳地帯のスイスは資源に乏しく、かつては傭兵(ようへい)派遣が国の大きな産業となっていた。スイスの傭兵が伝統的にバチカン市国の警護を務めているのはその名残である。「血の輸出」とも言われる傭兵派遣は数々の戦いで勝利へと導いてきた。その一方で多くの犠牲を生むことにもなり、他国にそれぞれ派遣されたスイス傭兵同士が戦うという事態に陥ったり、フランス革命で護衛にあたっていたスイス衛兵が虐殺されるということもあり1874年に憲法改正に伴って傭兵派遣は禁じられることとなった。中立主義は、このような悲劇があったからこそ生まれた考え方なのかもしれない。

しかし傭兵産業で培われた強大な軍事力はそのまま受け継がれ、ヨーロッパの中央という軍事的に重要な位置にも関わらず周辺国に引けを取らず、列強国からの圧力にも耐えた。永世中立国として承認された後も二度の世界大戦に渡って常に中立であり続け戦火を逃れた。今日のスイスの平和は、かつて国のために命を賭けて戦った傭兵たちによって守られ続けているのだ。