中世で盛んに行われていた治療法「瀉血」とは?

2017年9月15日


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現代医学が確立されるまで、医療技術は様々な試行錯誤が行われてきた。なかには医学的根拠が全く無いにもにも関わらず治療効果があると信じられ、広く行われてきた治療法もある。その代表ともいえる治療法がこの瀉血(しゃけつ)だ。その起源は古代ギリシャのヒポクラテスの時代にまで遡り、歴史的に最も古く、そして民間において最も普及していた治療法であるといえる。

”瀉”は「体の外に流し出す」という意味があり、瀉血とは読んで字のごとく血液を排出させるという治療法である。古代ギリシャのヒポクラテスが提唱した「血液,粘液,黄胆汁,黒胆汁の4つを基本的な体液とする」という四体液説は、解剖学をはじめとする近代医学が確立されるまで広く支持されてきた。そして「これらの体液バランスが崩れたとき病気になる」とする体液病理説が定着すると、人々は血液を排出することで体液のバランスを元に戻して病気を治すという瀉血を広く行うようになったのである。

瀉血はあらゆる治療に用いられた。頭痛や熱,咳など日常でも起こり得る不調から、死の病として恐れられ猛威を振るっていたペストやコレラまで様々な症状や病気に対して瀉血が行われてきたのだ。

瀉血の方法には血管を切開することによって血を排出する一般的な方法から、小さな傷をつけて少量の血を絞り出すもの、ヒルによって血を吸わせるという変わった方法まであったが、採血量が全く考慮されたなかった為に失血死してしまうこともあったという。


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瀉血に使われていた道具の数々。

現代医学の確立に伴って、ほとんど効果が無いことが明らかになった瀉血であるが、現在ではC型肝炎の進行を抑えるのに有効であることが明らかになっている。C型肝炎では肝臓に鉄分が過剰に蓄積して炎症を起こしてしまうが、瀉血によってヘモグロビンを排出することで体内の鉄分量を減らし、炎症を抑えることができるのだ。他にも多血症やヘモクロマトーシスなどの病気で瀉血の効果が確認されている。

一部のウェブサイトには瀉血によって病気が治ったとするものや、健康を維持できるといった旨の紹介がなされていることもあるが、効果があまり期待できないうえにリスクも大きいため注意が必要だ。特に自己流で瀉血を行うのは大変危険なので絶対に行ってはいけない。

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