風邪に抗生物質が処方される理由とは?

2017年9月13日


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風邪をひいて、病院で診療を受けたとき抗生物質が処方されたことはないだろうか?そのため、「風邪には抗生物質が効く」と考えている方も少なくないだろう。しかし、これは必ずしもそうとは言えない。

そもそも風邪(風邪症候群)とは上気道の炎症を主症状とした熱や咳,喉の痛みなどの諸症状を指す言葉であり、原因症状は様々である。風邪の原因の大部分はウイルスによるもので、ライノウイルスやアデノウイルス,コロナウイルスなど、風邪を引き起こすウイルスは200種類以上にも及ぶ。他にも溶連菌や肺炎マイコプラズマなどの細菌によって引き起こされる場合や、肝炎やアレルギー性鼻炎,エイズなど他の病気によって風邪の症状が現れる場合もある。

一方で抗生物質は「微生物の発育や機能を阻害する物質」のことで、上記のような溶連菌や肺炎マイコプラズマなど細菌が原因となって引き起こされる風邪には抗生物質が有効であるが、ウイルスが原因となって引き起こされる風邪には実のところ効果は無い。また、細菌感染でも自然に治る場合が多いため必ずしも抗生物質が必要とは限らないのだ。

実は、風邪に対してウイルス性や細菌性の区別無しに抗生物質の処方が慣習化している病院が少なくない。これは日本に限ったことではなく、米国でも外来における抗生物質投与の4分の3以上が風邪に対して消費されているというデータもある。こうした現状を招いている大きな原因は無難な治療方針によるものだ。

細菌性かウイルス性か断定が難しい場合や、高齢者が二次性の細菌感染によって重症化することを防ぐために”とりあえず”抗生物質を処方する、といった無難な治療方針をとるケースが増えてきている。

厚生労働省は風邪などに対する抗生物質の投与を控えるよう全国の医療機関に注意を呼び掛けている。抗生物質の細菌感染における効果は非常に高いが、副作用のリスクもそれだけ大きい治療薬である。処方されたからといって気軽に服用することはできるだけ避けたいものだ。ましてや、抗生物質の処方を自ら希望するようなことの無いように。

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