ドーナツにはなぜ穴が開いているのか?

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バウムクーヘンの穴は棒に生地を塗りながら焼くためにできるもので、生産過程においてどうしても穴ができてしまうものだが、ドーナツの場合はそうではない。ただ慣習的に、生地をくり抜いたり環状に成形して穴を作っているように思われる。ドーナツにはなぜ穴が開いているのだろうか?

ドーナツになぜ穴が開いているのかはいくつかの説がある。例えばドーナツの英語”doughnut”は小麦粉から作られた生地を意味する”dough”と木の実を意味する”nut”が語源とされており、メイフラワー号に乗ったピルグリム・ファザーズたちがアメリカに向かう途中に立ち寄ったオランダで、小麦粉で作った生地を揚げたものにクルミを乗せた(あるいは中に入れた)伝統的な揚げ菓子の作り方を知り、アメリカでそれを作ろうとしたがクルミが入手できず、代わりにクルミが入るはずだった部分に穴を開けて作ったという説がある。この説では語源をうまく説明している上にドーナツ伝来の史実に沿ってはいるが、なぜクルミの入っていた場所に穴を開けたかは不明である。


mmm… donuts! flickr photo by Mark Bonica shared under a Creative Commons (BY) license
ドーナツと一口に言っても様々な種類があり、一部地域では穴の無いドーナツが一般的であったりする。本稿でのドーナツとは生地を環状に成形して揚げるリングドーナツのことだ。

もう1つの有力な説は合理的でシンプルだ。ハンソン・グレゴリーというニューイングランドの船乗りが1847年に発明したというもので、彼の母親が作る小麦粉の生地で作った揚げ菓子がいつも中央部分が生焼けであったために、彼が穴を開けて揚げるようアドバイスしたところ生焼けによる失敗は無くなり、それが広く知れ渡ったというもの。また、船乗りだった彼が船の舵に引っ掛けるために穴を開けて作ったとする説もある。

まるで歴史に穴でも開いたように判然としないドーナツの穴の謎。もはや真相を知ることのできない現代ではただお洒落で可愛くて、美味しければそれでいいのかもしれない。