推定総量は観測可能な物質の約6倍、正体不明の「暗黒物質」とは?

2017年7月3日


space flickr photo by Sweetie187 shared under a Creative Commons (BY) license

現代物理学において最も重要な存在でありながら未だにその正体は謎に包まれている「暗黒物質」。宇宙の謎を解くとして、世界中の研究者たちが様々な手法でその検出を試みている。この暗黒物質とは一体どのようなものなのか?

暗黒物質の存在がはっきりと明らかになったのは1970年。アメリカの天文学者,ベラ・ルービンケント・フォードは新たな手法を用いて星や星間ガスなどが銀河を周回する速度についての観測を行っていた。河内の星や星間ガスは従来まで、銀河の中心部に近いほど周回速度が速く、中心部から離れるにつれて周回速度が遅くなると思われていた。銀河の中心部から離れるほど星の数は減少していき、周回速度も比例して遅くなるからだ。

しかし、観測結果は予想に反して星や星間ガスの回転速度は銀河のどの部分であってもほぼ一定であったのだ。この観測結果はこれまでに知られていない「質量を持つ何か」が銀河内に大量に存在することを仮定しなければ説明することができなかった。

その「質量を持つ何か」はこれまで観測できなかったことや理論的整合性から、可視光線やX線などの電磁波を出すことはなく銀河の中心部から離れるほど増えていき、総量は銀河内の星や星間ガスなど目に見える物質の約10倍にもなると推測された。この「質量を持つ何か」こそが現在の「暗黒物質(ダークマター)」なのだ。

もちろん、この突拍子な理論は受け入れられるはずもなく発表当時は非難の的となったが、現在では様々な観測結果から多くの研究者によって支持されている。最新の研究によれば、この宇宙に存在する暗黒物質の総量は観測可能な物質の総量の5~6倍と推測されており、暗黒物質が無ければ銀河を維持することはおろか形成すらされないことがシミュレーションにより明らかとなっている。

宇宙の構造にすら影響を与える存在にも関わらず未だその正体すら明らかになっていない暗黒物質。日本でも東京大学宇宙線研究所XMASS実験によって暗黒物質の観測を試みている。通常の物質とほとんど反応しない暗黒物質が検出器内にある液体キセノンと反応したときのわずかな光を検出するという方法だ。果たして、暗黒物質最初の発見は日本となるだろうか?

関連記事
「ハビタブルゾーン」から地球外生命を探る
もうすぐ?ベテルギウスの超新星爆発
宇宙人へのメッセージ「アレシボ・メッセージ」とは?
ハダカデバネズミの驚異の生態と能力とは?

天文学カテゴリの最新記事