ハダカデバネズミの驚異の生態と能力とは?


naked mole rat – Cleveland Metroparks Zoo flickr photo by Tim Evanson shared under a Creative Commons (BY-SA) license

ハダカデバネズミはその名が示す通り、体毛のない薄ピンク色のしわのある肌と突き出た歯を持ち、まさに”キモカワイイ”という言葉がピッタリの動物だ。しかしハダカデバネズミはこの外見からは想像もつかないほど 多くの興味深い性質を持っている。

まずはその驚くべき寿命の長さだ。同じ大きさのマウスの寿命が約3年であるのに対し、ハダカデバネズミの寿命は約30年で、その差は10倍にもなる。しかもその生存期間の8割は老化の兆候を示さないという。人間の寿命を80歳とすると、64歳に相当する年齢まで若いままの身体を維持できるのだから驚くべきものだ。

また,彼らは加齢に伴う死亡率の上昇もみられない。ヒトを含め、多くの生物は加齢に伴って心疾患や血管疾患などの様々な老化関連疾患を発症し、生命維持ができなくなってやがて死んでしまうが、ハダカデバネズミにはこれが認められないという。

その老化関連疾患は,あらゆる生物が発症する悪性腫瘍、すなわちがんも例外ではない。なんとハダカデバネズミは未だに自然発生した腫瘍がこれまでに確認されていないのだという。ハダカデバネズミではDNAを修復する遺伝子及びがんを抑制するような遺伝子が常に活性化しているのだ。


naked mole rat flickr photo by Jedimentat44 shared under a Creative Commons (BY) license

興味深いのは生理機能だけではない。ハダカデバネズミは哺乳類には極めて珍しい真社会性の社会構造を有しているのだ。一匹の女王と数匹の雄で繁殖し、その他の個体は巣の管理やエサの採集,赤ちゃんの世話などを分業し、共同で生活しているのだ。このような社会構造を持つ哺乳類は同じデバネズミ科のダマラランドデバネズミを合わせた2種のみである。

ハダカデバネズミが持つ驚異の生態と能力はそのどれもが特異的で興味深いものであり、話題に事欠かず、枚挙にいとまがない。2017年4月付けの科学誌『サイエンス』の発表によれば,なんと全くの無酸素状態でも18分もの間生存できたという。無酸素状態に置かれたハダカデバネズミは意識を失い、心拍数が毎分約200回から毎分約50回以下へと減少したが、それでも生命活動を維持し続けたという。

そして18分後、空気を送り込むとハダカデバネズミは意識を取り戻し、問題なく再び活動しはじめたというのだ。酸素の薄い地下に生息するハダカデバネズミには低酸素環境への耐性が備わっていることが以前より知られていたが、まさか無酸素状態でも生存が可能であることは恐らくハダカデバネズミの研究に携わる研究者にとっても驚くべきことだろう。次はどのように、私たちを驚かせてくれるのだろうか?