オリンピックにおける聖火の伝統と科学


2010 Olympic Flame flickr photo by Gord Bell shared under a Creative Commons (BY-ND) license
2010年に開催されたバンクーバーオリンピックの聖火台。

聖火は神であるプロメテウスが天界から火を盗み、人類に与えたというギリシャ神話に由来しており、聖火を開催地まで運ぶ聖火リレーは1936年のベルリンオリンピックで初めて導入されたものだ。
伝統的に聖火はギリシャのオリンピアのヘラ神殿で凹面鏡を使い、太陽光によって点火されて開催地へと運ばれる。聖火リレーに使用される炎は、このオリンピアのヘラ神殿で採火されたものでなくてはならない。火リレーの途中で火が消えるようなことがあれば大変だ。

実はオリンピックでは聖火が消えてしまうアクシデントがたびたび発生している。その多くは突風や取り扱いや管理が原因であるが、近年は活動家の妨害によるものが多くなってきている。2008年の北京オリンピックではチベット問題や領土問題に絡んでリレー中に数回、聖火が消えてしまうという事態に見舞われた。

聖火リレーでは火が消えたときに備えて聖火ランナーに同伴して聖火が複数のランタンに入れられて運ばれてるが、トーチ自体にも様々な工夫が施されているのだ。シドニーオリンピックやアテネオリンピックで使用されたプロパンとブタンや、プロピレンとブタンを組み合わせた混合燃料は炎の輝度が高くなり、撮影時に明るく写りやすいようになっている。

北京オリンピックではロケット開発などを行う中国企業が独自の技術によってプロパンの固体燃料を開発し、見事に聖火リレーでのエベレスト登頂に成功した。2000年のシドニーオリンピックに至っては特殊な固体燃料を用いたトーチを持ってダイバーが水中を泳ぐという驚くべき聖火リレーに成功させている。

開催を控えた2020年東京オリンピック。56年の時を経て、再び聖火が日本へと運ばれる。聖火リレーのルートについては現時点でまだ検討段階であるという。1964年の東京オリンピックでは聖火空輸特別機である”シティ・オブ・トウキョウ号”によって運ばれた。聖火は日本工機株式会社が制作したもので、今回も採用されるべく日本工機は煙の出ないトーチを新たに開発しているという。今回の2020年東京オリンピックではどのようなトーチが使われるのだろうか?その演出と共に、日本の技術に世界の注目が集まる。