地球に壊滅的な被害をもたらす「スーパーフレア」とは?

2017年2月28日


flickr photo by _sarchi shared under a Creative Commons (BY) license

隕石の落下,パンデミック,巨大火山の噴火,ガンマ線バースト・・・地球規模の被害をもたらす潜在的な脅威はいくつか存在するが、中でもその危険性が未知数でかつ地球に壊滅的な影響を与えるであろう現象が知られている――「スーパーフレア」は,太陽表面でしばしば見られる爆発現象「フレア」の100~1000倍にも及ぶ巨大な爆発現象であり、太陽によく似た複数の恒星でこの現象が確認されている。しかし、太陽では少なくとも2000年もの間,このスーパーフレアは観測されていないという。

もし、スーパーフレアが発生したら地球はどうなるのか。このことについて考えてみる前に、通常規模のフレアは地球にどのような影響を与えているのだろうか確認してみよう。1895年に発生し,観測史上最も大きな「キャリントン・フレア」が観測された際には強力な磁気嵐が発生し、非常に激しいオーロラが見られ,欧米の一部で既に利用されていた電信システムが誘導電流によって火災が発生したという。中には電信システムの電源が切られているにも関わらず、送受信できたという記録すらある。

もしもキャリントン・フレアと同規模のフレアが電子機器が普及し、衛星が飛び交う現代で発生するとどうなるのか。1989年に発生した磁気嵐が、その脅威の片鱗を垣間見せる。世界各地で電波障害が引き起こされ、人工衛星はコントロールを失ってカナダのケベック州では大停電を引き起こし600万世帯が影響を受けた。

ましてや、キャリントン・フレアの10倍以上のスーパーフレアが発生したならば人類史上かつてないほどの大災害となるだろう。地球軌道上の衛星は全て故障し、飛行機は墜落する。さらに地球規模で大停電が起きると予想されている。しかし影響は電子機器などだけに留まらない。スーパーフレアと同時に発生する大量の荷電粒子がオゾン層を消滅させ、発生した強力な放射線が地球に降り注ぐ。スーパーフレアの発生は生物の大量絶滅を招く恐れがあるのだ。


太陽面でみられる爆発現象「フレア」。NASAのゴダート宇宙飛行センターによる撮影。

では、スーパーフレアが今後,太陽において発生する可能性はあるのだろうか?これまでスーパーフレアは木星規模の大型惑星が短期的な周期で公転する、いわゆるホット・ジュピターを持つことが予想されていた。このような惑星は恒星の磁場と相互に作用するためスーパーフレアのような巨大なフレアが発生すると考えられてきたのだ。

しかし京都大学の柴田教授や国立天文台の前原研究員及び学生らがケプラー衛星の観測データを解析したところ、スーパーフレアを起こすような恒星279個のうち,惑星が発見されたのはたったの1つだけだったという。もし仮にホットジュピターによってスーパーフレアが引き起こされたとするならば、もっと有意に惑星を持つ恒星が見つかるはずなのだ。

さらに、太陽型の惑星で365例にもなるスーパーフレアの観測に成功したという。これらの解析による統計から太陽型の恒星におけるスーパーフレア(最大級の太陽フレアの1000倍規模程度)の発生頻度はおよそ5000年に1回程度であることが明らかとなった。また,スーパーフレアが発生するような恒星には星の明るさが0.1~10%も変動するほどの巨大な黒点が存在しているという。今後の太陽の黒点の観測には,より注意が必要だ。ちなみに現在の太陽の黒点は宇宙天気情報センターの黒点情報で見ることができる。

今回の研究で上記のようなスーパーフレアでなくとも最大級の太陽フレアの100倍規模のフレアは同じ太陽型の恒星でおよそ800年に1回の発生頻度で起きていることが明らかとなった。このような脅威が明らかとなった今、人類に何ができるのだろうか?

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