神秘的なクリスタルの洞窟「クエバ・デ・ロス・クリスタレス」


13569_giant-crystal-cave-2_12801024 flickr photo by julierohloff shared under a Creative Commons (BY-SA) license

メキシコのチワワ州にあるナイカ鉱山では洞窟内が巨大な結晶で埋め尽くされているという驚くべき洞窟が存在する。

スペイン語でクエバ・デ・ロス・クリスタレス、英語ではジャイアント・クリスタル・ケイブと呼ばれるこの洞窟にあるのは巨大なセレナイト(透石膏)だ。

メキシコの二大鉱山企業の一つ、ペニョーレス社が1985年にパイプを使ってこの鉱山から地下水を抜くまでにこの洞窟内は地下水によって満たされていた。最も大きな結晶は60万年前のものであることが分かっており、洞窟内の結晶は長い年月を経て成長してきたと考えられている。

洞窟には大小様々なセレナイトの結晶が林立し、発見されたものには長さ11.4m、重さにして約55トンという世界最大級の結晶もあったという。

洞窟はナイカ鉱山の地下300mに位置し、マグマだまりの上にあるため洞窟内は地熱の影響を強く受ける。洞窟内の気温は40~50℃で、湿度は100%近くにもなるため入るためには特別な装備が必要となるが、それでも体力の消耗が激しいため原則として滞在は20分程度までだという。人間にとっては過酷な環境だが、セレナイトの結晶が成長するには最適な温度環境なのだという。

洞窟内を満たしていた地下水は数十万年もの間、58℃前後という水温で維持されていたというのだ。この水温は、地下水に含まれる硫酸カルシウムがセレナイトに変化するのに最適な温度条件なのだという。こうした環境が数十万年もの間、維持され続けたことで世界でも類を見ない巨大な結晶を形成させたのだ。

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By Alexander Van Driessche [CC BY 3.0]、 via Wikimedia Commons

しかし、地下水によって安定していたこの巨大な結晶は地下水が抜かれた今、自重を支えきれずに崩壊したり、採掘で発生した塵で結晶が汚染される可能性もあるという。また、この巨大な結晶を狙う盗掘が今後起きないという保証もない。

この洞窟の発見後に幾度か盗掘によって結晶が持ち去られており、現在では盗掘防止のため扉は厳重に閉鎖されているものの、爆薬や掘削機を有する採掘同業者が相手ならば必ずしも安全とは言い難い。

また、ナイカ鉱山での採掘が終了すると地下水を抜いていたポンプも停止するためこの洞窟は再び地下水で満たされるのだという。しかし2017年にはこの洞窟から新種の微生物が発見されたため、研究続行により閉鎖はまだ先になるかもしれない。