舌の場所によって感じる味覚は分かれているのか?

2016年9月28日


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舌先は甘味を感じ,側面前方では塩味,側面後方では酸味,舌の奥では苦みを感じる――

こんな話を聞いたことは無いだろうか?舌の場所によって感じる味覚が分かれているという「味覚分布地図」説は従来まで低学年向けの解説書や専門書にまで書かれていた。しかし近年では,この説は誤りである事が知られている。

前回の記事でも紹介したとおり,味覚は舌の表面に数多く存在する舌乳頭という突起の上にある味蕾と呼ばれる構造で感じている。

この味蕾には3種類の味細胞と呼ばれる受容細胞が存在し,それぞれⅠ型細胞,Ⅱ型細胞,Ⅲ型細胞と呼ばれている。これらの受容細胞が特定の分子あるいはイオンを検出すると味神経と呼ばれる味覚を伝達する神経を興奮させ,脳に信号を送ることによって味を感じると考えられている。つまり,1つの味蕾だけでもそれぞれの味を感じることができるのだ。決して舌の場所で感じる味覚が分かれているわけではない。この味覚分布地図説は今からおよそ100年前の1900年頃の研究によるもので,大変分かりやすかったために広く浸透したと考えられている。

味覚の研究については現在もまだ進められており,未解明な部分も多い。例えばⅡ型細胞は甘味,苦味,うま味を、Ⅲ型細胞は酸味を感じると考えられているが,塩味についてはどの受容細胞が担っているのかまだ特定されていないのだ。

さらに,味覚は基本五味と呼ばれる甘味・苦味・酸味・塩味・うま味が現在知られているが、さらに脂肪やカルシウムの味覚受容体が存在するとみられており,今後の研究が待たれる。

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