NASAのクリーンルームで発見された新種微生物「Tersicoccus Phoenicis」とは?

2016年9月20日


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2007年,NASA・ケネディ宇宙センターのクリーンルームの微生物検査でとある微生物が発見された。
宇宙センターのクリーンルーム内は地球由来の微生物などによる宇宙環境の汚染を防ぐため,空気はエアーフィルターで高度にろ過された上に滅菌処理が行われており,壁面や床は紫外線照射や除菌作業を繰り返し行っている。

Tersicoccus Phoenicis

このような徹底された清潔環境にも関わらず発見されたこの微生物は既知の近縁種と細胞壁などの分子構成が異なる事が明らかとなり,後にTersicoccus Phoenicisという学名が与えられ新種として認定された。

この特異な微生物は2年後の2009年,欧州宇宙機関(ESA)ギアナ宇宙センターのクリーンルーム内で再び発見された。
このギアナ宇宙センターとケネディ宇宙センターは約3,900km離れているにも関わらずクリーンルームという同じ環境下で発見されたのだ。このTersicoccus Phoenicisは,クリーンルーム内の厳しい環境にも耐えうる非常に強い耐性を持ち,自然界において生存は可能であるが,他の微生物との競争には弱いため,繁殖は難しいと考えられている。しかし,クリーンルームという他の微生物と競合しない特殊な環境下では繁殖が可能であったため,今回の発見に繋がったのだというのだ。

とはいえ,この微生物の発見は滅菌処理が万全ではないことを浮き彫りにしている。特に宇宙開発における生命探査では,こうした地球に由来する微生物の侵入は防がなければならない。

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