世界最長時間の実験「ピッチドロップ実験」とは?


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オーストラリア,クイーンズランド大学にはギネス世界記録にも認定された世界最長の実験が現在もなお続けられている。1927年,クイーンズランド大学の教授であったトーマス・パーネルが発案したこの実験はピッチと呼ばれる非常に粘性が高く,ほぼ固体の性質を示す”液体”を漏斗に入れ,その流動性を観察するというものだ。

ピッチは漏斗内を”流れ”落ちながら滴を形成して落下する。1927年以降,これまでに9滴が落下しているが、9滴目の2014年4月24日は,落下したピッチを受けるビーカーの容量が無くなってきたため,交換作業を行った際に意図せずちぎれてしまったのだという。

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By John Mainstone, University of Queensland (John Mainstone) GFDL or CC-BY-SA-3.0via WikiCommonsジョン・メインストーン教授とピッチドロップの実験装置。漏斗内のピッチはハンマーで叩くと粉々になるほど粘性が高く、ほとんど固体の性質を示す。

実験開始以降,これまでにピッチの落下を目撃した者はいない。8滴目の落下時にはカメラまで設置していたが,技術的な問題から録画に失敗していたという。
発案者であるトーマス・パーネル教授は残念ながら2滴目が落下した翌年の1948年にこの世を去った。その後は実験責任者として52年間にも渡り実験を見守ってきたジョン・メインストーン教授も2013年8月に死去している。両氏には2005年にノーベル賞のパロディであるイグ・ノーベル賞が授与された。漏斗内にあるピッチの残量から,このピッチドロップ実験はあと100年は続くという。