発熱する驚異の植物「ザゼンソウ」


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ザゼンソウは北海道や本州に分布するサトイモ科の多年草だ。サトイモ科によく見られる,葉が変化した仏炎苞(ぶつえんほう)に覆われており,その中には小さな100輪ほどの花が密生した肉穂花序(にくすいかじょ)と呼ばれる花軸がある。座禅を組む僧侶に似ていることから座禅草の名があり,しばしば達磨大師に例えられ,達磨草と呼ばれることもある。地下には太い根茎があり,葉は根から出て悪臭を発して花粉を運んでくれる虫をおびき寄せる。

ザゼンソウの肉穂花序には雄しべと雌しべの両方が分布しているが雌しべが肉穂花序表面に出現する雌性期があり,後でこれと入れ替わるように雄しべが出現する雄性期になるので個体内で受粉することはできない。つまり,受粉には雌性期の個体に雄性期の花粉が必要なのだ。

ザゼンソウは1月下旬に雪の中から他の植物よりも早くに見つけることができる。なんとザゼンソウは肉穂花序の部分から発熱して周囲の雪を融かし他の植物より早く開花を行うことで花粉を運ぶ虫を独占して利用するのだ。


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発熱によってザゼンソウ周囲の雪が融けている。

さらに,ザゼンソウの発熱には驚くべき仕組みが隠されている。なんと,外気温に関わらず温度を20℃前後に保つ恒温性を有しているのだ。この温度は,花粉管の伸長に最も適した温度なのだという。
植物が発熱する現象については,1778年の植物学者ラマルクによる『フローラ・フランセ』にも記述されており,現在では50種以上が知られている。
実はハスもこの中に含まれている。ハスはザゼンソウと同じく発熱を行い,温度を一定に保つことができるのだ。また,以前紹介したショクダイオオコンニャクは発熱によって臭気成分を拡散させ花粉を運ぶ虫を誘因することができる。
これまで知られている植物にも微弱な発熱を行うものが存在していると考えられており,身近にある植物が発熱植物として新たに「再発見」される事があるかもしれない。