驚異の遠隔手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」

2016年5月16日

執刀医が向かっているのは手術台ではなく操縦席だ。そして執刀医が握るはずのメスや鉗子(かんし)を巧みに操っているのはなんとロボットである。

このロボットこそ,次世代の最新医療機器であるda Vinci Surgical System,通称ダ・ヴィンチ(da Vinci)なのだ。執刀医は操縦席でこのダ・ヴィンチを操作して手術を行う。
ダ・ヴィンチの原型はアメリカ陸軍旧スタンフォード大学によって開発された。当初は戦場でも行える遠隔手術ロボットの開発を目的として資金援助を受けていたという。名前の由来は解剖学でも大きな業績を残したあのレオナルド・ダ・ヴィンチである。
しかしながら,執刀医は患部を正確に操作することができるのだろうか?ダ・ヴィンチ操縦の熟練者は,なんと米粒文字を書いたり3cm四方の紙折り鶴まで折る事ができ,非常に精密な操作を行うことができるのだ。

操縦部には手ぶれ防止機能があり,また操作するアームも多関節で非常に多くの種類の鉗子も備わっているため,人の手では難しい様々な局面に対しても正確な作業を行うことができるのだ。
また,執刀医のモニターは3D映像となっているため解剖構造を立体的に確認しながら手術を進める事ができ,映像は拡大も可能なので肉眼では見えにくい細部まで確認しながら作業を行うことができる。


flickr photo shared by Universidad de Navarra under a Creative Commons ( BY-ND ) license
ダ・ヴィンチによる実際の手術の様子。右奥の操縦席に座っているのが執刀医だ。

近年,身体の負担が少なく手術創も目立ちにくい腹腔鏡手術が増えつつあるがその反面,内視鏡を挿入してモニターに映る平面的な映像を元に小さな開腹部から手術器具を入れ作業を行うという高度な技術を必要とするため,そのリスクも大きくなる。ダ・ヴィンチで行う手術の場合は内部の映像を立体的に,かつアームによる精密な作業を行うことができるので腹腔鏡手術のメリットを生かしつつもリスクを最小限に抑える事ができる。

ダ・ヴィンチによる手術は日本でも受ける事ができるが,2014年時点で前立腺手術以外には保険適応外であるため経済的な負担が大きく,ダ・ヴィンチの操縦ができる執刀医はまだまだ少ないのが現状だ。将来的には離島などの長距離においても遠隔手術を受けられることが期待されている。

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