未だ人工栽培に成功していない「マツタケ」

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秋の味覚といえば,マツタケを最初に想像する方も多いのではないだろうか。マツタケは日本で古くから親しみがあり,枕草子や万葉集,徒然草にもその記述がみられる。歯ごたえのある食感と,香り高い独特の風味が特徴的だ。

この香りはマツタケオールをはじめ,桂皮酸メチルエステル、オクテノール,メチルオルシナート等の複数の香り成分が混ざり合ったもので,焼くことによって香りがさらに引き立つ。さらにビタミンB群やナイアシン,ミネラルも豊富で国立がん研究センターや東京大学薬学部などによると抗がん作用はキノコの中で最も効果が高いという。

しかしながら,マツタケの生産量は年々減少しており,最も生産量が多かった1940年頃には12,000トンもの収穫があったが,現在は30トン前後で推移している。その為,現在のマツタケの需要は95%以上を中国産やアメリカ産等の輸入で賄われている。

生産量低下の大きな原因となっているのがマツタケが発生する主要なアカマツ林の減少だ。マツタケは,シイタケ等のキノコとは異なり,成長に必要な養分を自らで作り出すことができない。マツタケの場合は主にアカマツに寄生している。アカマツ林の減少と老齢化が進み,残っていたとしても高度経済成長に伴って山の利用が少なくなった事で山への施業が無くなり,土の栄養分が多くなったのだ。
マツタケは,土の養分が少なくて痩せた乾燥地を好む。その為,人が山の手入れをしなくなると枯れ葉や枝が積もり,これが微生物などによって分解され,土の養分が多くなるとマツタケの生育には適さない環境となるのだ。


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また,マツタケは現在でも人工栽培に成功していないのだ。養分を自ら作り出せないことや,温度や養分量などの様々な条件が必要であること,マツタケが生えるための菌糸の成長速度が遅いことなど様々な理由があり現在でも各地で研究が行われている。マツタケの人工栽培に成功すれば,安全な国内産のマツタケを大量に安価で手に入れる事ができるようになる。数年後には,学校給食でもマツタケの炊き込みご飯が定番となり,スーパーではシメジやエノキの横に並べられているかもしれない。

韓国でマツタケの人工栽培に成功

2018年 追記
韓国の中央日報が伝えるところによると、山林庁国立山林科学院が2017年9月にマツの苗木から人工マツタケが生えていたことを確認したという。どのような栽培方法を用いたかは不明であるが、今後の研究に期待しよう。