ホワイトホールは存在するのか?
2016年3月5日

ブラックホールと対を成す存在であるホワイトホール。ホワイトホールはどのような性質を持つのか?そして、ホワイトホールは存在するのだろうか。


あらゆる物理法則は熱力学が関与しない限り時間反転対称性という性質を持つ。つまり,時間の向きを変えてもそのまま運動が成り立つのだ。


例えば,振り子を想像してほしい。固定部分の摩擦や空気抵抗を無視して振り子の運動を撮影し,逆再生をしても振り子は同じように運動し,通常と逆再生のどちらの映像を見せられてもそれがどちらか判断する事は出来ない。ボールが上に投げられて落ちる運動も同じだ。このように,ニュートン力学では時間反転対称性が守られているのだ。

次に,坂の上から転がしたボールが下っていく運動を考えてみよう。通常であれば,転がしたボールは摩擦や空気抵抗によって下りきった後にボールは停止するはずであるが、摩擦や空気抵抗は考えてはいけないのでここでは止めようとしない限り,ボールは下りきっても永遠に運動し続ける。

摩擦や空気抵抗を考慮して逆再生をすると、止まっているボールがひとりでに坂を上り始めるような不自然な映像となってしまう。時間反転対称性が保存されていれば,通常再生と逆再生のいずれも自然な運動に見えるので振り子の映像のようにそれが通常再生か逆再生か区別をする事ができないはずである。

これは摩擦や空気抵抗を考慮したために摩擦熱などが発生し,エントロピーの増大が起きて時間反転対称性が破れたのだ。時間反転対称性は熱力学では通用しない。

坂の上から転がしたボールの運動を逆再生するとボールが坂を上っていき,ボールが重力の作用を受けて減速しながら坂の上で止まるような映像に見える。つまり,重力の作用も時間反転対称性が保存されるのだ。


ここで,アインシュタイン方程式によって予想されるブラックホールを時間反転させた理論上の天体がホワイトホールなのだ。余談であるが,アインシュタイン方程式の解に宇宙の膨張解と収縮解があるのはこの時間反転対称によるものである。

ホワイトホールはブラックホールとは逆の性質を持ち,ブラックホールがあらゆる物質を「吸い込む」のに対しホワイトホールは物質を「吐き出す」という奇妙な性質を持つ。


その存在についてだが,ホワイトホールは理論的にも安定して存在する事はできず,またそれらしき天体は観測できていないのだ。


しかし,ブラックホールも最初は単なる理論上の天体だと考えられ実際に観測された天体で,何らかの形で存在するホワイトホールの存在を否定する事はできない。 ホワイトホールの”希望的観測”は始まったばかりだ。



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