ロコモティブシンドロームに陥るメカニズムとは?

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前回の記事「ロコモティブシンドロームとは?」で紹介した通り、超高齢化社会を迎えた日本は現在、約4人に1人が65歳以上の高齢者であり、世界で最も高齢者の割合が高い国である。そんな日本が現在問題となっているのは高齢化に伴う要介護者の増加である。要介護認定者数は既に600万人を超え、介護者の身体的,精神的,経済的な負担は大きく、介護者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の低下も大きな問題となっている。

そこで日本整形外科学会が提唱しているのがこのロコモティブシンドロームである。この概要は前回の「ロコモティブシンドロームとは?」を参照のこと。このロコモティブシンドロームに陥る人々にはある一定の段階や傾向が見られるという。今回はそのメカニズムについてご紹介しよう。

前述の通り,ロコモティブシンドロームに至るまでには段階があり、まず筋肉や骨,関節などが衰えたり障害が起きる。例えば骨粗しょう症や変形性関節症,筋力の低下などがこれに該当するが、これらの運動器障害は毎日の運動習慣によって予防することができる。

これらの症状が起きることでさらに体を動かす機会が減少し悪化するという悪循環が生じ、運動量はさらに減少を続ける。運動量の減少によって筋力は低下し続け、ついには立ち上がりや歩行等にも支障をきたし、歩行量も減少し始めて最後には寝たきりとなってしまうのだ。 
こうした悪循環から抜け出すのは非常に難しい。正しい知識をもって毎日の運動習慣を身につけて予防に努める事が大切である。

また、一般的なロコモティブシンドロームの形態は主に運動器の疾患と加齢による筋力低下に分けられる。運動器の疾患は特に膝関節の軟骨の減少による関節の痛みにより全体的な運動量の減少に繋がる。軟骨の減少は肥満や筋力の減少と大きく関わっておりまた中高年の人が運動やスポーツを始めると膝関節に大きな負担となるので、若く健康なうちから運動習慣を身につけておく必要がある。関節リウマチなどの一見すると生活習慣と関わりないと思われる自己免疫疾患といった運動器障害もストレスや食生活習慣が発症の要因となる場合が多い。

加齢による筋力低下について、人は20~30代をピークに年齢を重ねるうちに筋力が低下することは当然である。しかし、こちらも運動習慣によって筋肉の増加または維持を行う事で筋力の低下を最小限に抑える事ができる。 
つまり、若く健康なうちからの運動がロコモティブシンドロームを未然に防ぐことができるのだ。では予防の為の運動とは具体的には何をすれば良いのか?

まず壁またはテーブルなどに手をついて身体を支え、片脚を少し上げて片脚立ちを行う。これを左右1分間ずつ、1日3回行う事でロコモティブシンドロームの予防に効果がある。

若い人であればこの運動を行うまでもなくウォーキングやジョギング等を行うことで大きな予防効果が期待できるがデスクワークで忙しく日常的に運動不足の方や負担の大きい高齢者の方は脚や膝にかかる負担を最小限に抑えながら必要な筋力を維持する事ができる。

また、肥満や痩せ過ぎもロコモティブシンドロームになりやすい傾向にある。肥満は膝への負担を高め、痩せ過ぎは筋力の低下につながるからだ。運動習慣だけでなく食生活習慣も含めて取り組む事が大切である。