自然からヒントを得る バイオミメティクスとは?

自然からヒントを得るバイオミメティクスとは?

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自然界の生物はその環境を生き抜く為に独自の進化を遂げ、様々な特殊な形態や能力を身につけてきた。ドイツのオットー・リリエンタールが鳥の羽の研究から初期のハンググライダーを作り上げたように、人間は空を飛ぶことはできないが空を飛ぶ鳥の技術を工学に取り入れて応用する事ができる。このように、生物体の持つ優れた機能を模倣して工学に応用して利用する技術をバイオミメティクス(生態模倣技術)という。

例えばハスの葉はよく水を弾く。これはロータス効果と呼ばれ古くから知られていたが、このハスの葉の表面上の微細な凹凸の構造と分泌物によって水を弾いている事を突き止め、ボン大学が企業と共同開発によってLotusanという水を弾く塗料を開発した。Lotusanは複数の企業によって様々な用途で商品に利用されている。

ヤモリは壁をよじ登る事ができ,さらに天井を這う事もできるが、粘着性のある物質は分泌していない。全ては足裏の構造に隠されていたのだ。ヤモリの指先を拡大すると数十万本にもある毛が密集しており、さらにその先端も数百の毛に枝分かれしていたのだ。この微細な毛と壁の表面との間に働くファンデルワールス力という分子と分子の間に働く引力によって落ちずに張り付いていたのだ。この発見を応用して、GeckoTapeと呼ばれる粘着剤を用いない粘着テープが開発された。


Sticky feet flickr photo by Oregon State University shared under a Creative Commons (BY-SA) license
ヤモリの足裏。指にある段状の構造はラメラと呼ばれ,この内部には数十万本もの毛が密集する。さらにこの毛の先端から数百の枝毛があり,枝毛の先端は平らになっている「スパチュラ」と呼ばれる構造がある。

2008年の北京オリンピックで問題となった速くなる競泳水着も実はバイオミメティクス技術の恩恵である。サメの肌はリブレットと呼ばれる数十マイクロメートルの周期的な溝がある。このいわゆる”サメ肌”の構造は水中での抵抗を軽減させる効果ため上記の競泳着をはじめ様々な分野へ応用されている。また、船舶のフジツボ等の付着防止の為に今まで用いられてきた毒性のある物質に代わりフジツボが付きにくい構造で環境にも優しい素材としてまた新たに注目されている。

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生物と工学という対極的な分野が協力して誰もが想像しなかった新しい素材や製品を開発する。夢のような技術は意外にも身近な場所に隠されている。