乳児がいる親は注意すべき「揺さぶられっ子症候群」とは?

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父親がなかなか泣き止んでくれない赤ちゃんにいら立って頭を激しく揺すってしまった途端、赤ちゃんに痙攣(けいれん)が起き、病院へ搬送され入院したが、赤ちゃんは数日後に死亡してしまった――
赤ちゃんの身に一体何が起きたのだろうか?

概ね生後6か月までの乳児は首がまだ据わっておらず、脳は頭蓋骨よりもまだ小さいので脳と頭蓋骨との間に隙間があり安定していない。血管も未発達なので、前述のような激しい揺動により脳の血管が損傷を受けて出血を起こしてしまうのだ。

これが1972年にJohn Caffey医師によって初めて報告された揺さぶられっ子症候群(Shaken Baby Syndrome)だ。その名の示す通り、乳幼児の頭部が何らかの理由で激しく揺さぶられる事で硬膜下出血や眼底出血が生じ、知的障害をはじめとする脳機能障害,視力低下,脳性麻痺などを引き起こす。最悪の場合命を落とすケースもある。アメリカでは虐待の証拠として重要視されている。

日本では2002年から厚生労働省の指導により母子手帳に「赤ちゃんを強く揺さぶることは避けましょう」という注意喚起が記載されるようになったが依然として認知度は低く、名古屋女子大学の平林あゆ子助教授による愛知県内のアンケート調査によると、4ヶ月未満の乳児をもつ親で揺さぶられっ子症候群を知っているのは実に54%だけで、残り46%は「知らない」または「名前のみ知っている」と回答した。

保育士の場合でも実に42%が「知らない」または「名前のみ知っている」と回答されている。実際に保育士が揺さぶられっ子症候群を発症させてしまったケースも報告されている。

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報告されている事例では父親が揺さぶられっ子症候群を発症させてしまう場合が多いようだ。高低差のある「高い高い」,空中に投げてキャッチする等といった激しい遊び方や泣き止まない赤ちゃんに苛立って乱暴にあやしてしまう事が原因である場合が多い。揺さぶられっ子症候群の危険性について夫婦間で正しく理解しておく事が大切である。

もし、何らかの理由で頭部が激しく揺動した直後に痙攣や激しい嘔吐が見られたり、呼吸の異常または長時間眠り続けている場合はすぐに救急車を呼ぶか、脳神経外科のある病院で受診しなければならない。

また、気を付けるべきなのはあやし方だけではない。長時間の自動車運転による揺動でも揺さぶられっ子症候群を発症する場合もあり、死亡したケースもある。

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乳児を長時間車に乗せる場合は1時間~2時間程度を目安にチャイルドシートから降ろして休憩を行う。また、月齢や体の大きさに合った正しいサイズのチャイルドシートを適切に使用する事が大切だ。

参考文献
「揺さぶられっ子症候群」と保育
乳幼児保育に関わる人々の認識度(第1報) 平林 あゆ子